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カジュアル化、脱スーツの流れが強まる中、先月開かれた2010年春夏のパリ・メンズコレクションでは、引き続き“軽さ”の表現に意を尽くした服が多かった。そこでスーツなど紳士服のコードを再構築するのか、そこから飛び出すのか。デザイナーたちの模索を感じた。 ランバンが見せたのは袖がないスーツ。表地は綿や毛との混紡で、肩から背中は伸縮性のある素材。ボタンはなく片方だけ折ったラペルは首の後ろに折り返しがない。スーツの様々な要素をそぎ落としてなおスーツに見えるうまさが光る。デザイナーのルカ・オッセンドライバーは「現代の男たちの着こなしに新たな解決策を提案した。重要なのは着る人それぞれが個性的であることだ」と話す。 ディオール・オムは、芯地がシャツのように見えるスーツを出した。ラペルやボタンをなくし、普通は見えない薄い芯地を上着の内側に見せて、ゆらぐような軽さを演出した。 ドリス・ヴァン・ノッテンはクラシックなシルエットに東洋的な意匠を取り入れた。イカット柄という青い絣(かすり)模様のジャケットに茶系のチェックのパンツ。まったく違う強い柄同士だがバラバラに見えない。 久しぶりにメンズで独立したショーを開いたイッセイミヤケも、トルコのモザイク柄やチューリップ柄から着想したという明るい柄を組み合わせた。 ジュンヤ・ワタナベのテーマは「スノッブ」。着丈の短めのジャケットにロールアップしたパンツ。帽子とアスコットタイで洗練されたキザっぽさを味付けした。「カジュアルやルーズな方向じゃない、スノッブな着こなしが気になった」とデザイナーの渡辺淳弥。 コムデギャルソンは、グレンチェックの上着に生成りのニットやネクタイが縫いつけられていたり、マドラスチェックの上着にネル生地のタータンチェックがついていたり。デザイナーの川久保玲は「寄せ集めの面白さと強さを表した」と語った。 ルイ・ヴィトンは、ニューヨークの街を自転車で駆け抜けるメッセンジャーボーイのイメージから、上質で着やすいスポーティーな服をそろえた。 イヴ・サンローランで目についたのは中性的な着こなし。レギンスに柔らかいショートパンツ、ドレープがかかるロングカットソーを重ねて、カーキのコートは襟が大きなフードになっている。“紳士服”には見えないたたずまいだ。 ジバンシィはモロッコやアルジェリアがテーマのひとつ。遠目にはドットに見える柄は実はメタルスタッズのプリント。サルエル風のパンツや頭をすっぽりと覆うフードなども使い、スーツやジャケットによらない男性性を打ち出した。 今回はヨウジヤマモトがショーを中止したが、全体では前季並みの約50ブランドがショーをした。ただこの不況下で実験的な創作よりも市場を意識した服が多くなったことは確か。展示会場で「ショーで良かった服はどれか」と聞き取りをするブランドも増えた。それも生き残る戦略だが、思い切り作りたいものを作って見せて欲しいとも思う。(菅野俊秀) ◇写真はすべて大原広和氏撮影
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